【マル秘テクニック】これで差がつく!授業づくりのコツ 意識するだけで「授業力」が劇的にアップする3つのポイント
学校働き方改革アドバイザーの小太郎です。
新採用の先生にとって、授業は死活問題ですよね。準備期間もなく、経験も少ないのに問答無用で教壇に立たされて、50分間の生徒との真剣勝負。
僕も初任のころは、生徒は寝るわ、評価は散々だわで、授業に行くのがつらい時期もありました。しかし、今は「教科推進委員」という教育委員会指定の授業改善の専門家として教壇に立っています。
そこで今日は、意識するだけで授業力が高まる3つのポイントを分かりやすく解説したいと思います。
小太郎
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目次
授業力アップのために意識すべき3つのポイント
授業力を高める上で意識すべきことは、
- 授業のねらい(=目標・目的)を明確にする
- 生徒に身近なテーマを探す
- 「ねらい」を達成するための手段を考える
の3点です。
実は、多くの先生がこの作業を無意識に行っていますが、それを意識的に行うことによって、授業力をアップさせることができます。
以下、その理由を解説しましょう。
ポイント1:「授業のねらい(=目標・目的)」を明確にする
研究授業を行うと、その後の振り返りで、授業者が必ず聞かれる質問があります。
「授業のねらいは何ですか?」という質問です。
「授業のねらい」とは、自治体によっても定義が異なるようですが、ざっくり言えば、
- 授業の目標や目的
- 生徒に身に付けさせたい力
- 今日のめあて
などのことで、その授業が最終的に目指すゴール地点のことを指します。
(厳密に言えば、「目標」と「目的」は違いますが、ここでは同じ意味として扱います)
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実際によく見られる「授業のねらい」としては、
- ~のしくみを理解する
- 論理的に考える力を育む
- 他者と協働しながら合意形成する
などがあります。
「授業のねらい」を明確にしなければならない理由は、ねらいを設定することによって、
- 目指すべき目的地(ゴール)が明確になり
- 目標の達成の度合いを測る指標になる
からです。
「ねらい」が重要な理由① 目指すべき目的地(ゴール)が明確になる
どんな仕事もそうですが、目的が不明確だと、どこに向かっていいかの分からなくなります。
例えば、単に「売上データをまとめた資料を作ってください」と言われただけでは、
- その資料を何の目的で使うのか
- 誰に対する資料か
- いつまでに行えばよいか
ということが見えないので、どのような点に注意して資料を作成すればよいかを判断することも難しくなります。
資料作成を依頼するのであれば、
次の企画会議で売上が減少している原因を報告するために、売上データをまとめた資料を作ってください。
小太郎
と、資料作成の目的を伝えることで、
- 資料作成の目的
- 資料を使用する場
- 納期
- グラフの見せ方(強調部分)
などの目指すべきゴールが明確になり、必要な行動が見えてきます。
授業も同じで、
- この授業で何を目指すのか
- 生徒に身に付けさせたい力は何か
という授業の目的(ゴール)を明確にすることで、適切な授業の構成が自ずと見えてくるのです。
「ねらい」が重要な理由② 目標の達成の度合いを測る指標になる
授業後は、多くの先生が授業のデキについて振り返りをしていると思います。
- 今日の授業は盛り上がったからよかった
- 生徒の反応が悪かったから理解できていなかも知れない
など、振り返りの方法はさまざまですが、授業力の向上を目指すならば、
- 「ねらい」に対する達成度はどのくらいか
- 達成度を上げるための改善点は何か
という振り返りをすべきだと思います。
そうすることで、なんとなく良かった、という漠然とした反省ではなく、しっかりとした基準を持った上での振り返りができようになります。
これが授業改善のPDCAサイクルです。
このサイクルを回すことを習慣にできれば、1年も経たずに授業力必ず身につくはずです。
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ポイント2:生徒に身近なテーマを探す
生徒に「授業が退屈だと感じる理由」をアンケートしてみたところ、上位3つの回答は、
- 授業の内容が理解できない
- 受験に必要ない
- 勉強してもどこで役に立つか分からない
でした。
私たち教員にとっては、耳が痛くなるような問題です。
しかし逆に言うと、「勉強したことが役に立つ」と思わせることができれば、受験に必要なくても、生徒は興味を持つ可能性があるということです。
では、いかにして「役に立つ」と思わせるか。
もっとも簡単な方法は、「授業と実社会のつながりを実感させること」です。
生徒は、授業の内容を身近に感じられた時に初めて、「教科書の他人の話」でなく、
「身の回りにある自分の話」としてとらえるようになります。
つまり、授業内容が自分の生活とつながることで当事者意識が芽生えるのです。
例えば、「日本にある54機の原発がすべて止まった」と聞いてもなかなか実感がわきません。
電気は毎日届いているので所詮は他人事です。
しかし、ここで実物を見せたらどうでしょうか?僕なら、「再生可能エネルギーを増やすために、私たちの電気代も高くなった」といって、電気料金の領収書の「再エネ発電賦課金」の項目を紹介します。すると、他人事だった原発の話が、自分の話に思えるかも知れません。
小太郎
このように、授業内容と生徒のくらしを結び付けるテーマを探し、授業に取り入れることで、生徒の興味・関心を引くことができます。
ちなみに近年では、シチズンシップ教育において、模擬裁判や模擬投票などがさかんに行われていますが、これも「授業と実社会のつながり」を実感させ、当事者意識を育むことをねらいとしています。(主権者教育)
以上のことから、授業づくりで意識すべきことは、生徒が自分の問題として授業をとらえることができるように、
- 単元内容と
- 生徒の身の回りにある話題
の接続させるテーマを探すことが生徒を授業に引き付けるカギとなります。
ポイント3:「授業のねらい」を達成するための「学習方法(=手段)」を考える
授業力を向上させるために意識すべきポイントの3つ目は、「授業のねらい」を達成するための「学習方法」を考えることです。
「ねらい」とは、言い換えれば「目標」や「目的」のことですから、授業の「目的」を達成するためには、どのような「方法」がもっとも適切か、を考えることが説得力のある授業の近道になります。
「そんなの当たり前じゃん!」と思う先生もいると思います。
しかし、意外とここに落とし穴が潜んでいるので、基本的なことから確認していきたいと思います。
まず、次のような授業のつくり方を見てください。
授業のつくり方(ケース1)
いかがでしょうか?
特に違和感がない先生もいるのではないかと思います。しかし、この順序で授業をつくることはオススメしません。よかったら、みなさんもその理由を考えてみてください。
小太郎
本来、授業には達成すべき「目標」や「目的」があるはずです。
そのねらいを達成するために、
- グループワーク
- 講義
- ディスカッション
- プレゼンテーション
などの「手段」があるのです。
しかし、ケース1の場合は、達成すべき「ねらい(=目標・目的)」が設定されていないにもかかわらず、「グループワーク」を計画しています。
これでは、何のためにグループワークをやるのか、その理由がわかりません。
グループワークをやること自体が「目的」となっているので、もし「授業のねらい」を問われたら、それに答えるのが難しいと思います。
もちろん、あと付けで、
た・・多様な意見を知った上で、自分の・・考えをまとめる・・ことが「ねらい」です。そのためのグループワークです・・嘘じゃないです。
小太郎
などと言うことはできますが、本来は先に「目的」があって、それを達成するために「手段」を選ぶべきなので、順序が逆なのです。
このように、「目標・目的」と「手段」の関係は、授業を構成する上で非常に重要です。
「授業のねらい」と、それを達成するための「手段」に整合性があるかどうか。
それが説得力のある授業になるか否かの分かれ目となります。
- 授業のねらい(=目標・目的)を設定し
- ねらいを達成するための適切かつ効果的な「手段」を考える
これが3つめのポイントです。
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まとめ
今日は、「意識するだけで授業力がアップする3つのポイント」についてお話をしました。
授業力は教員の必須スキルです。
しかし、そのスキルやノウハウを体系的に学ぶ機会はほとんどありません。
民間企業では、OJT(On-the-Job Training)といって、
就業しながら研修や訓練をする制度があります。
新入社員が上司のセールスに同行したり、企画書の書き方を教えてもらったり、先輩の一歩後ろで仕事の「型」を学ぶ機会が用意されています。
しかし、教員の場合は、初回の授業から一人で生徒の前に立つことになります。指導教諭からの助言はありますが、一緒に教壇に立ってくれるわけではありません。
そこで、新採用や若手の先生に向けて、授業力アップのための「型」を紹介してみました。
授業力を高める授業づくりのコツは
- 授業のねらい(=目標・目的)を明確にする
- 生徒に身近なテーマを探す
- 「ねらい」を達成するための手段を考える
の3点です。
授業のノウハウを教えてもらえる場面も限られていると思いますので、
よかったらぜひこの授業づくりの方法を試してみてください。