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【授業力アップ!】読むだけでわかる授業の作り方|授業づくりの基本を4STEPで丁寧に解説

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授業づくりの基本のホワイトボード
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民間企業出身の高校教師(公立)/公民科/教育委員会より指定を受けた授業研究・推進の専門家/著者/キャリアは、大学卒業→大手代理店→働きながら通信制大学で教員免許取得→教員採用試験(1度目は不合格)→→現職10年ちょい(育休取得と現場復帰を経験しました)
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学校働き方改革アドバイザーの小太郎です。

授業は、教員にとってもっとも重要な業務の一つですよね。それにもかかわらず、授業のつくり方やノウハウを教えてもらえる機会はほとんどありません。

「効率よくチャチャっと授業を作りたい!」
「どうすればいい授業を作れるの・・?」

と思っている若手教員も多いのではないでしょうか。僕も教員になりたての頃は、授業の作り方が分からず、毎日深夜まで授業準備をしていました。

しかし、授業づくりの基本を知れば、授業づくりのスキルが高まるだけでなく、時短によって生徒対応など他の業務に時間を割くこともできます。

そこで今回は、教育委員会から指定を受けた授業の専門家として蓄えた知識から、授業のづくりの4ステップを紹介したいと思います。

小太郎

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授業づくりの4ステップとは?!

woman-teacher

さっそく授業づくりの「基本」について解説しましょう。授業づくりは、以下の4ステップで行うのがもっともスタンダードです。

授業づくりの4ステップ
  1. 単元内容の把握
  2. 授業の目標・ねらいの設定
  3. 手段と構成を考える
  4. ワークシートなどの教材の作成

 

授業のつくり方は、授業者の個性によってもさまざまですが、若手の先生にとってまず重要なのは、授業づくりの「基本」を身に付けることだと思います。

「基本」を身に付けることで、授業準備の時間を短縮できますし、時間的なゆとりがあってこそ、自身の授業を振り返ることができるからです。

 

中には、「若いうちに試行錯誤するから自分の授業の型ができる」「模範解答のようなテンプレートは成長を妨げる」という意見もあります。

確かに一理あるとは思うのですが、現在の学校に十分な教材研究の時間は与えられていません。教材研究の1日あたりの平均時間は、小学校で1時間17分、中学校で1時間26分です。

これでは、自分の型を身に付けるどころの話ではないでしょう。

まずは、授業づくりの「基本」を身に付け、経験を積んだり、自身を振り返る中で、少しずつ自分らしさを発揮すればいいと思います。

小太郎

では、具体例を踏まえながら詳しく解説します。

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STEP1:単元内容の把握

本が積み上がっているところ

授業づくりで最初に行うべきは、「単元内容の把握」です。

この授業では何を題材(テーマ)にしていて、どんな力を育もうとしているのか、自分なりに解釈するところから始めます。

といっても、やり方は簡単で、

  1. 教科書を読む
  2. 資料集で深める
  3. ネットで補足する
  4. 参考文献を読む

を行えば、単元内容は自然と頭に入ってくると思います。

 

1 教科書を読む

教科書を読み、単元のまとまりでは何を題材(テーマ)にしていて、どんな力を育もうとしてるのか、自分なりに把握します。

 

例えば、現代社会の「生命倫理」の単元であれば、

題材(テーマ):
臓器移植、クローン技術、安楽死・尊厳死など

育てようとしている力:

  • 科学技術への理解
  • 生命の尊厳
  • 多様な価値観の尊重
  • 生命倫理における判断基準

などが考えられるでしょう。

このように教科書を読み込んで、内容を理解します。

 

ここで大切なのは、教科書の内容をただ箇条書きにするのではなく、書き出した内容に重みをつけることです。並列ではなく、優先順位をつけてください。

なぜなら、授業をづくりではポイントを絞ることが重要だからです。

 

教科書のすべての内容を授業で網羅的に取り扱うのは、事実上、不可能です。
そのため、授業づくりでは「どこを削るか」が重要になるのです。

小太郎

これは、ステップ② 授業の目標・ねらいの設定にも関わってくるので、

  • どの内容を詳しく取り上げて
  • どの部分を削るか

を意識しながら、教科書を読むようにしてください。

この取捨選択は、教科書というカタログの中から、授業に使えそうなパーツを選ぶ作業に当たります。

 

 

2 資料集で深める

教科書を読み、取り上げる題材(テーマ)と育てたい力が把握できたら、資料集で理解を深めましょう。

特に、1教科書を読む」で重点的に取り上げようと思った題材については、資料集でしっかりと自身の理解を深めなければなりません。

教員側の理解が曖昧では、深めようと話をするほどドロ沼にハマってしまうからです。

 

資料集を読む際のポイントは、

  • 画像・図
  • グラフ
  • 詳しい説明
  • 豆知識

などに着目して、知識に肉付けを行うことです。

 

その中でも画像は、

  • 生徒の注目をひく
  • 興味の入口になる
  • 記憶が定着する

という点で積極的に活用すべき情報になります。

 

特に、記憶の定着については、脳科学の分野で「視覚優位効果」が証明されていて、

  • 72時間後の記憶の定着率は、口頭説明が10%なのに対し、絵を使いながら説明は65
  • 視覚情報の処理速度は、文字情報の6万倍
  • 視覚情報の活用によって学習効果が4

となっているので、可能な限り画像や図は活用すべきでしょう。

 

資料集は、カタログのデラックス版と言えます。教科書のカタログでは満足できず、もう少しいいパーツが欲しいな、と思う時には積極的に活用してみてください。面白いネタが見つかるはずです。

 

3 ネットで補足する

ネットの情報は真偽不明のものもあり、注意して取り扱う必要がありますが、有益な情報も多いので、積極的に活用すべきです。

 

具体的には、

  • 教科書や資料集を読んで疑問に思ったこと
  • 個人的に興味を持ったこと
  • 授業を深める上で必要な情報

などを検索するといいでしょう。

 

教科書や資料集の情報は断片的です。

単元と単元のつながり、文脈や行間を埋める情報は、授業者自身で補わなければならないことがほとんどです。そのブリッジ(架け橋)となる部分をネットの情報でつないでゆくのです。

 

ただし、その情報の「確からしさ」については注意が必要です。

  • 複数のサイトの情報を比較する
  • 真偽不明の情報はできるだけ使わない
  • 確からしさが担保できない場合は、その旨を伝えて紹介する

などの配慮が求められます。

 

4 参考文献を読む

ここでいう参考文献とは、専門書や一般書などのことです。

授業をするためには、専門知識が必要なことは言うまでもありません。

 

厳しいことを言えば、教科書や資料集、ネットの情報は、生徒の自主学習でも学べる知識です。

教師による授業に付加価値があるとすれば、知識面においては、教科書や資料集に書かれていない専門知識にあると言えます。

したがって、教員は自己研鑽のために、普段から多くの専門書や一般書を読み、授業の引き出しを増やす必要があるのです。

ただ、そうは言っても若手の先生は忙しいのも事実ですよね。
部活・生徒対応・分掌業務に手一杯で、教材研究もままならない・・!という人も多いと思います。

小太郎

 

そんな時は、

  • 通勤時間などのスキマ時間
  • 夏休みなどの時間

を利用して一般書や専門書を読むことをオススメします。

 

通勤時間が電車で片道30分であれば、往復1時間月にすれば22時間というまとまった時間をインプットに充てることができます。

加えて、朝の通勤時間は頭も冴えているため、インプットの質も高まります。

授業づくりや、実際の授業で気になったことはそのままにせず、必ずメモを取り、それに関連する本をチェックするようにしましょう。

 

参考文献のチェックの仕方
  1. 授業づくりで疑問や興味が湧く(でも、直接授業とは関係がない。あるいは緊急性がない)
  2. ノートにその疑問を書く(キーワードだけでも良い)
  3. 書店に寄った時にノートを見直し、関連のありそうな本を探す
  4. 通勤時間や夏休みなどを利用して読む

 

また、授業内容は実社会とつながっていることが少なくありません。むしろ、授業には授業内容と実社会をつなぐ役割があるとも言えます。

この点、何気なく読んだ一般書に授業で使えるネタがあったり、目にしたニュースが明日の授業の内容とマッチしていたり、ということが日常的に起こります。

そうした気づきを授業に還元することも重要です。

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STEP2:授業の目標・ねらいの設定

thumb-up

授業のねらいとは何か

単元内容の把握ができたら、次は授業の目標やねらいを設定します。

授業のねらいとは、目指すべきゴールのことで、学校によっては、

  • 授業の目標
  • 生徒に身に付けさせたい力
  • 今日のめあて

などと呼ばれています。

 

具体的には、

  • 〜のしくみを理解する
  • 論理的に考える力を身に付ける
  • 他者と協働しながら合意形成する力を育む

などがあります。

 

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【授業づくりのコツ】超簡単!「授業のねらい」にマッチした「学習方法」の設定方法(ワークシート付き)

 

単元内容の把握が授業のパーツを選ぶ作業ならば、ねらいの設定は授業の「土台」を作る作業です。

いかに「わかりやすい授業」であっても、この土台がしっかりしていないと、授業のコンセプトがあやふやなものになってしまいます。それでは、良い授業とは言えないでしょう。

 

「授業のねらい」を設定し、目指すべきゴールをはっきりさせることで、選択するべき「学習方法(手段)」が見えてくるのです。

 

授業のねらいの設定方法

では、授業のねらいはどのように設定すればよいのでしょうか。

授業のねらいの設定方法は、以下の4つのツールを参考にするのがもっとも簡単かつ効果的です。

  • 学校目標
  • 指導要領における各教科の目標
  • 生徒の課題
  • 自分なりの思い・テーマ

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「学校目標」や「教科の目標」は、その文言を「本時の目標」に取り入れるだけで「授業のねらい」となります。

例えば、学校目標に「自ら学び、考える力を育てる」とあった場合、それに合わせる形で、

  • 主体的に学ぶ力の育成
  • ~についての思考力を育む

などを「授業のねらい」とするのです。

 

また、生徒の課題も、その改善を目指すこと自体が「授業のねらい(目的)」となります。

例えば、生徒の課題として「全体的におとなしく積極性に欠ける」課題があるのであれば、

  • 他者とコミュニケーションを図る力の育成
  • 積極的に意見を表現する力を育む

などの「授業のねらい」が考えられるでしょう。

 

また、少し難しくなりますが、学校目標、生徒の課題、教科の目標(指導要領)などの重なる部分から、最大公約数的なねらいを設定することも可能です。

最大公約数的な授業のねらいと書いてあるホワイトボード

 

例えば、

1 学校目標
自ら学び、考える力を育てる

2 生徒の課題
人の意見に流されやすく、自分の考えに自信が持てない

3 教科の目標(指導要領)
身に付けた判断基準を根拠に構想する力(高等学校学習指導要領 平成30年告示 「政治経済」)

 

というケースがあった場合、どのような「授業のねらい」を設定すれば、「1 学校目標」「2 生徒の課題」「3 教科の目標」のすべてを満たすことができるでしょうか。

 

この場合、僕であれば、このような「授業のねらい」を設定します。

授業のねらい

根拠に基づいて自分の意見を表現する力を育む

 

この「授業のねらい」が、123のどこに対応しているかをまとめると、

  1. 自ら学び、考える力を育てる →自らの力で根拠を考える
  2. 人の意見に流されやすい→ 根拠を持つことで自信を持って主張できる
  3. 身に付けた判断基準を根拠に構想する力→ 根拠が妥当か知識を活用して吟味する

となります。

 

このように、「1 学校目標」「2 生徒の課題」「3 教科の目標」に共通する部分を抽出することで、
一石三鳥の「授業のねらい」を設定することも可能なのです。

 

ただ、この方法で授業のねらいを設定するには、それなりに考える時間も必要になります。

時間に余裕がある時、あるいは研究授業で力を注ぎたい時などにトライしてみてはいかがでしょうか。

 

このように、

  • 学校目標
  • 指導要領における各教科の目標
  • 生徒の課題
  • 自分なりの思い・テーマ

という4つの領域は、相互に関連しており、知っていると便利なツールなので、ぜひ活用することをオススメします。

 

 

STEP3:手段と構成を考える

road-to-top

授業のねらいを設定したら、ねらい(目的)を達成するための「手段」を考えます。

「手段」とは、目的を達成するための方法です。

 

例えば、

目的手段
学力を上げる予習・復習を行う
健康を保つジョギングをする
お金を稼ぐバイトをする

などが手段と目的の関係で、手段によって目的が達成される構図になっています。

 

 

授業における「手段」とは、学習方法(授業方法)のことで、

代表的な学習方法

  • 講義 グループワーク
  • 教科書 副読本
  • ノート プリント
  • 板書 パワーポイント
  • 一斉 個別
  • 記述 発表

などを組み合わせて授業をつくるのが一般的です。

 

グループワークはさらに細かく分類することができ、

  • ペアワーク
  • ディスカッション
  • ディベート

なども有効な手段です。

 

授業をつくる際には、これらの学習方法の中から、ねらい(目的)を達成するために最も効果的な方法(手段)を考えてゆくのです。

 

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STEP4:ワークシートなどの教材の作成

パソコンで作業している

「授業のねらい(=目的)」と「学習方法(=手段)」が決まったら、その学びを深めるための教材を作成します。

教材として代表的なものは、ワークシートや補足プリントなどです。

教科書や資料集では補いきれない情報を補足プリントとして配ったり、書き込み式の授業プリントなどを作成している先生は多いと思います。

 

プリント教材のメリットとデメリットは、それだけで本が書けるほど奥の深い内容になってしまうので、ここでは立ち入りませんが、重要なのは、プリントを作成する場合、ディティールにこだわりすぎないことです。

中には、プリントの完成度を高めようとするあまり、

  • 書式
  • フォント
  • 図やグラフの配置
  • 文章の言い回し

など細かい部分にこだわって、多くの時間を費やす人もいます。

 

しかし、限られた時間をどこに投下すべきかをよく考えるべきです。

プリントの作成に2倍の時間をかけても、当然ながら、子どもの学びは2倍にはなりません。

 

そうであれば、授業の「質」を高めるために時間を費やすべきです。

具体的には、STEP1~3の作業、つまり「授業のパーツ選び」や「土台づくり」がそれに当たります。

 

この部分が練られている授業ほど、授業のコンセプト(目指すべきゴール・そこまでのルートなど)が明確になり、生徒にとっても分かりやすい授業になるのだと思います。

 

また、授業の質を高めるためには、授業後の振り返りに時間を費やすことも効果的です。

なぜなら、振り返りによって授業改善のPDCAサイクルを回すことができるからです。

授業改善のPDCAサイクル

計画(Plan):
授業のねらい、学習方法、教材の作成などの計画を立てる
授業実践(Do):
授業計画に基づいて実際に授業を行う
評価(Check):
授業計画の達成度の振り返り(授業のねらいがどの程度達成されたのか)
改善(Action):
達成度を高める方法を考え、次の授業に活かす

 

このように、授業改善のサイクルを回すことで、授業がブラッシュアップされてゆくはずです。

 

以上、授業づくりの基本を4ステップで解説してきました。

授業づくりと聞くと、何かやることが山ほどあるように思われがちです。しかし、授業づくりの流れが分かるとやることは意外にシンプルなのです。

授業に悩む若手の先生は、肩の荷をおろして、基本に立ち返ってみると上手くいくかも知れません。

 

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まとめ

今回は授業のつくり方の基本型として、授業づくりの4ステップを解説しました。

茶道や武道など日本の伝統文化の世界には、修行のプロセスに「守・破・離」という3段階があると言われます。

:師匠から教わった型を守って基本を身に付ける段階
:基礎を身に付けた後、更なる研究によって自分らしさを模索する段階
:基本型と自分らしさの双方を自覚し、型から離れて自在になる段階

 

授業づくりの基本型は、いわば「守」の段階と言えるでしょう。

授業の基本型を身に付けることによって、「自分らしい授業」を確立するまでの最短距離を走ることができるのです。

 

今日の処方箋
  1. 学校や研修では授業づくりのノウハウを学ぶ機会が少ない
  2. 授業づくりには「基本型」がある
  3. 授業づくりの「基本型」を知ることが、「自分らしい授業」への最短距離

 

授業づくりの4ステップを活用して、ぜひ自分らしい授業を確立してください。
若手の先生の活躍を心からお祈りしています。

 

 

なお、ツイッターでは毎日発信中です。

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小太郎

 

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