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【コロナ対策】土曜授業・夏休み短縮は必要なのか?!

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jugyoujisuu
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民間企業出身の高校教師(公立)/公民科/教育委員会より指定を受けた授業研究・推進の専門家/著者/キャリアは、大学卒業→大手代理店→働きながら通信制大学で教員免許取得→教員採用試験(1度目は不合格)→→現職10年ちょい(育休取得と現場復帰を経験しました)
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学校働き方改革アドバイザーの小太郎です。
全国的に学校の再開が始まる中、各学校では、コロナ休校で失われた授業時間をどう工面するのか、その対応に頭を悩まされているのではないでしょうか。授業時間は、高校受験や大学受験の試験範囲にもかかわる大きな問題です。
そこで今回は、コロナ休校で失われた授業時間をどう考えるべきか、生徒の不利益を最小限にとどめながら、指導要領上の「法的根拠」を逸脱しない範囲での対応策を提言したいと思います。

小太郎

 

 

授業時間を確保するための方法

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コロナ休校によって失われた授業時間を工面するために、全国の学校では、

  • 授業の効率化(スピードアップ)
  • 行事の精選
  • 土曜授業
  • 夏休みの短縮

などの対応を議論されていることかと思います。

 

しかし、長期に渡る自粛生活や自宅学習など、ただでさえ子どもたちのストレスが心配される中で、これらの対応が必ずしもベストではないことは、現場の多くの先生方の共通認識となっているのではないでしょうか。

 

授業の効率化はある程度やむを得ないと思いますが、少なくとも僕は、発達の途上にある子どもたちに、土曜授業や夏休みの短縮を強いて、「もっと我慢しろ!」と言うのは、彼らの成長にとってプラスとは思えません。

 

結論から言えば、授業時間の確保は、

  1. 生徒に無理のない範囲での土曜授業や夏休みの短縮を行い
  2. 授業の効率化で授業をスピードアップ
  3. できるところまでやる
  4. ただし、標準時間(高校であれば1単位35週)には拘らない

ということを提案したいと思います。

 

「え、できるところまででいいの?」と思う先生もいますよね?
標準時間ありきで考えるのは副作用が大きいので、できるところまで授業を進めることを提案します。

小太郎

 

指導要領は標準時間を絶対視していない

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多くの自治体の教育委員会が、土曜授業や夏休みの短縮などで標準時数を確保するために必死になっています。

しかし個人的には、1単位(50分)×35単位時間=(1750分)の標準時数を確保するための方法論を考えるのは、もはやナンセンスだと思います。

 

仮に計算上、標準時数を確保できたとしても、この先コロナウイルスの第2波によって再び休校となれば、その計画は絵に描いた餅となってしまうからです。

 

実は、学習指導要領上の建て付けや文部科学省の見解も、標準時数(35単位時間)を絶対視しているわけではありません。

 

例えば、「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総則編」では、

1 各教科等の年間授業時数

②別表第2に定めている授業時数を踏まえて教育課程を編成したものの災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態により当該授業時数を下回った場合,その確保に努力することは当然であるが,下回ったことのみをもって学校教育法施行規則第 73 条及び別表第2に反するものとはしないといった趣旨を制度上明確にしたものである。

出典:「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総則編」 文部科学省

とされており、今回のコロナウイルスのような不測の事態の場合は、
「授業時数を確保する努力は必要だけれども、標準時数を下回ったとしても、学校教育法施行規則の違反にはならないよ!」と説明しています。

 

また、「高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 総則編」では、

(3) 各教科・科目等の授業時数等(第1章総則第2款3(3))
ア 全日制の課程における年間授業週数(第1章総則第2款3(3)ア)

「年間 35 週行うことを標準と」するとは,35 週を上回ったり,あるいはこれを下回ったりしてもよいということであるが,それには教育的な配慮に基づく適切な幅の範囲という一定の限界があることを示している。

出典:「高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 総則編」 文部科学省

と、流行性疾患についての言及こそありませんが、標準時数については、一定の限界を示しつつも、
「35週は絶対じゃないよ!」と、弾力的な運用が可能であると解説しています。

 

そう、指導要領には、「何が何でも絶対標準時数を確保せよ!」とは書かれていないのです。

だから法的には、無理に標準時数に拘らず、
生徒の実情に応じて、できる範囲で授業時数の確保に努めればいいはずです。

 

ただ、そうはいっても、受験生を抱える学校の先生は、
「いや、受験があるから入試の範囲終わらせるためにも授業時数の確保は必須!」
とお考えの方もいる思います。

 

これについては、授業時数を増やすという発想ではなく、
逆に、「入試の範囲を狭くする(減らす)」という発想をすべきなのです。

 

入試の出題範囲の精選(=スリム化)

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標準時間数が絶対的なものでないのであれば、今考えるべきは、
入試の出題範囲の精選(=スリム化)だと思います。

 

東京や奈良など、既にいくつかの自治体が方針を示しているように、
授業時間が少ない中でも最低限学ぶべき学習内容を予め示し、今年度に限り、それに則った形で出題範囲を決めれば、次の点でメリットがあります。

  • 児童・生徒に土曜授業や夏休みの短縮を強いる必要がなくなる
  • 受験において休校が長引いた地域の生徒の不利益を最小限にすることができる

 

現状として、コロナ休校は、休校の期間に差によって、自治体間に授業時間にも格差を生んでいます。

 

しかし、全国の受験生がライバルとなる大学受験は、
公教育での学習機会に格差がないことを前提としなければなりません。

 

自治体によって授業時数が異なった結果、
「ある自治体ではすべての単元が終わったけれども、別の自治体では半分までしか終わらなかった」
という状況が生まれてしまえば、公正な競争とは言えないからです。

そこで、授業内容を精選(=スリム化)することによって、出題範囲もスリム化するのです。

 

具体的には、休校を延長した自治体とそうでない自治体の間にある授業時間の格差について、
休校を延長した(授業時間が最も少なくなった)自治体の授業時数に配慮した「学習内容=出題範囲」とすれば、不利益を最小限にとどめることができます。

 

授業時数の差を埋めることはできないにしても、入試の出題範囲をスリム化すれば、
どの自治体の受験生でも出題範囲は一通り学習している状況を作ることができると思います。

 

まとめ

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今回は私見を述べましたが、まとめると以下のとおりです。

今日の処方箋
  • 指導要領上、標準授業時数は絶対的なものではない
  • 児童・生徒に負担を強いる休日の短縮よりも、学習内容の精選の方がデメリットが小さい
  • 入試の出題範囲のスリム化は受験の公平性の担保につながる

 

私たち現場の教員には、できる限り生徒が不利益を受けないように工夫をする責務があります。

ですから、授業の工夫や休日の短縮などでできる限り授業時数の確保に努める必要はあるでしょう。

 

しかし、その場合であっても忘れてはいけないのは、
生徒不在の議論ではいけないということです。

 

「何のために授業時間を確保するのか」
それは、生徒の学力を保障するため、つまり生徒のためです。

 

そうであれば、授業時間を確保することを目的とするのではなく、子どもたちの成長をこそ目的とするべきでしょう。
(子どものために授業時数の確保が必要という結論なら、夏休みの短縮や土曜授業もやるべきですが)

 

生徒の成長にとって最も適切な手段は何か。

それを考えることが、子どもたちに寄り添う教育行政の本来の在り方ではないでしょうか。

 

文科省や教育委員会には、「例年より授業時間が減る」ことと、「無理して授業を詰め込む」ことのどちらが生徒にとってのマイナスが大きいかを比較した上で、子どもたちに寄り添う判断をお願いしたいと思います。

 

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民間企業出身の高校教師(公立)/公民科/教育委員会より指定を受けた授業研究・推進の専門家/著者/キャリアは、大学卒業→大手代理店→働きながら通信制大学で教員免許取得→教員採用試験(1度目は不合格)→→現職10年ちょい(育休取得と現場復帰を経験しました)
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Comment

  1. SQSSQS より:

    こんにちは、50代高校教員です。
    授業時数確保について、つぎのような校内での意見交換がありました。

    A:「年度末に指導要録の作成なんができるよう、適当な時期に午前授業にしたいね」
    B:「いいね」
    C:「標準時数が下回っている場合は、きちんと授業を行うべきじゃないか」
    A、B:「そっか、・・・」

    Bは自分で、その場は納得しましたが、
    「でも、要録残業の件は解決しないよな・・・」という思いがぬぐい切れません。

    生徒重視と労働者重視のせめぎ合いなのかと思います。
    どのように考えればよいでしょうか?

    • 小太郎 より:

      >SQSSQSさん

      はじめまして。コメントありがとうございます!
      確かに、要録や35週ルールは時間外労働の温床ですよね。

      35週ルールは、コロナ対応か働き方改革かどちらの文脈で語られるかで、
      受け取り方が変わってくると思っています。

      「高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 総則編」では、
      35週ルールは一定の範囲内で弾力的な運用ができることを示しているので、
      コロナによって35単位時間を下回ることは、認められると思います。

      しかし、働き方改革の文脈から35単位時間を下回ることは想定されておらず、
      このあたりは別の工夫が求められるように思います。

      詳細はメールにお送りしますので、よろしければご参考ください。

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